「おかえりー、ランドセル置いたら宿題ねー」
いつものママの声。でも今日、カイは気づきました。
ダイニングテーブルの上に、なぞのメモが置いてあったのです。
『カイへ きょうは だいじなひ です ママより』
「え、なに？今日なんかあったっけ？」
カイはドキドキしながら部屋を見渡しました。
でも誕生日じゃないし、遠足もない。
おやつは普通のせんべい、晩ごはんはカレーの匂い。
「うーん……なんかのドッキリか？」
その日の夜、またメモが。
『カイへ がんばったひの つづきです ママより』
しかもその横に、ママの手作りプリン！
「え、なに？何をがんばったの？」
考えても思い当たることはありません。
次の日、学校で先生に言われました。
「昨日、自分からプリント出したのえらかったな！」
「あっ……！」
思い出しました。昨日、ママに何も言われなくてもプリントをちゃんと出したのです。
その夜、またメモが。
『きづいてくれてありがとう ママより』
「うわー……そういうことか！」
メモはなんでもない日の、小さな成長を祝う手紙だったのです。
カイは、今度は自分がメモを書きました。
『ママへ きょうのプリン おいしかったです ありがとう カイより』
次の朝、ママの冷蔵庫には、こう書かれたメモが貼ってありました。
『カイへ メモがあると にこにこできるね ママより』
一言解説
日常の中にある「ささやかな成長」や「感謝」を、言葉にして伝えることの大切さを描いたお話です。口では言えなくても、メモや手紙がきっかけになって、親子の距離が近づくことがあります。
考えてみよう
・あなたがメモで伝えたいことってどんなこと？
・手紙やメッセージでうれしかったことはある？
・言葉にしないと伝わらない気持ちって、どんなものがある？
