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おかしな手紙配達人

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町のはずれにある「ポストの森」では、動物たちが手紙を配達する郵便局がありました。リスのチョロスケが、最近新人として配達係に任命されたのです。

「よろしくお願いします!」
元気よくあいさつするチョロスケ。しかし、彼にはひとつ大きな問題がありました。なんと、字がまったく読めないのです。

「こっちの家かな?……たぶん」
チョロスケは直感だけをたよりに手紙を配達します。名前も住所も読まず、封筒の色や匂いで判断していたのです。

最初の手紙は、うさぎのモフミちゃん宛てでしたが、なんとカメのカメ吉の家に届きました。中身は「はやく会いたい♡」というラブレター。

「……誰からだろう……」
のろのろと手紙を読むカメ吉は、顔を真っ赤にしていました。次の日、カメ吉はモフミちゃんに会いに行き、まちがいを知って大笑い。

それでもチョロスケは元気に配達を続けます。つぎは「クマのパン屋」への発注書。しかし、彼が向かったのは「クマのバン屋」でした。

「タイヤを12個……?」
パン屋のつもりで注文したクマのクッキーさんは、車の部品が届いて困り顔。でも、近くにバンを持つクマがいたので、なんとタイヤをクッキーに見立てて店で販売。これが思いがけず大ヒット商品に!

そんな失敗が重なっても、町のみんなはチョロスケを怒りません。むしろ、その間違いが町に笑いをもたらしていたのです。

ある日、特別な金色の封筒が届きました。送り主は「ポストの神様」。内容は「次の配達は、心をたしかに持って届けよ。正しく配れば、願いがかなう。」という謎の言葉。

チョロスケは一生懸命考えました。そしてついに、読み方を覚えようと決意します。

毎晩ランタンの明かりの下、フクロウ先生に字を習いました。配達の合間にひらがなを覚え、3週間後、ついに封筒の宛名を読めるようになったのです。

「これは……リスのチョロスケ様宛?」

なんと、手紙は自分宛てだったのです。中にはこう書かれていました。

「あなたの届けた笑顔と間違いが、町を幸せにしました。今度は、あなた自身へのごほうびです。」

その日、町中から動物たちが集まり、チョロスケに感謝の手紙を手渡しました。

「字が読めなくても、君は最高の配達人だよ!」

チョロスケは涙ぐみながら、ようやく自分の名前を読めるようになったことを誇らしく思いました。

その後も彼は配達を続け、今度はちゃんと読みながら——でも、たまに間違えて、また町に笑いが起きるのでした。

考えてみよう

・あなたはまちがえたとき、どんなふうに行動しますか?
・まちがいがきっかけでうまれた「いいこと」ってあるかな?
・字が読めなかったチョロスケの気持ち、想像できる?

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