クラスのムードメーカー・リクと、ちょっと慎重派のハル。
ふたりは毎日LINEで話している仲良しコンビです。
ある日の夕方。
リクが軽い気持ちでハルにスタンプを送りました。
「ドーン!(爆発スタンプ)」
ただの冗談。
ただのノリ。
ただの「今日も行くぞ!」の合図。
——のつもりでした。
しかし、その3分後。
ハルから返ってきたのは、たった一言。
「なんで?」
リクは「え?」となりました。
なんで?って何が?
スタンプだよ?いつものやつだよ?
リクは焦りつつ返しました。
「え、深い意味ないよ!」
返事は来ません。
既読がついたまま。
リクの心臓だけがドクドクしていきます。
(やばい、怒らせた?)
(変な送り方した?)
(もしかして昨日のあれ?注意した言い方キツかった?)
(いや、スタンプだよ!?なんで!?)
夜になり、リクはついに耐えられなくなって電話しました。
「ハル、ごめん!今日何か変だった!?
スタンプ気に障った!?」
ハルは寝ぼけた声で出ました。
「……え?なんかあった?」
「いや、『なんで?』って来たから……」
「あー、それ?
風呂入ってるときに通知来て、
“なんで鳴ったんだ?”って意味で送っただけ。」
リク、脱力。
ハルは続けました。
「ていうか、リク、スタンプの“意味”考えすぎ。
スタンプはスタンプよ。」
ふたりはクスクス笑いました。
スタンプひとつで大騒ぎ。
でも、どちらも悪くありませんでした。
ただ、**「文字だけでは気持ちは読めない」**ということを、
少しだけ忘れていただけでした。
次の日。
リクはハルに新しいスタンプを送りました。
「ドーン!(爆発)」
……の横に、もう一つ。
「これはただの景気づけです」
ハルからすぐに返事が来ました。
「了解。こっちは風呂入っただけです」
ふたりはまた笑いました。
読み聞かせ一言解説
この物語は、現代の子ども同士に増えている「LINEでの誤解」をテーマにしています。
言葉が短いために気持ちが正しく伝わらず、相手の意図を勝手に想像して不安になる——という状況は、大人でもよく起こることです。
読み終えたあと、「気になったら直接聞く」「文字だけで決めつけない」という、コミュニケーションの基本を話し合えるようにしています。
読み聞かせで考える
・LINEやメッセージで「相手が怒ってる?」と思ったことはある?
・相手の気持ちが分からないとき、どんな行動ができる?
・自分の気持ちが正しく伝わるように、どんな工夫ができる?

